「2023年10月7日から2年を迎えるにあたって」
JIPSC/日本・イスラエル・パレスチナ学生会議
日本・イスラエル・パレスチナ学生会議は、イスラエル/パレスチナ問題における、現地において困難な相互の対話の機会を創出することを目的に設立された学生団体です。 毎年夏に議論を交えた合宿体系の事業を行っています。 The official website of Japan Israel Palestine Student Conference.
2025年10月7日の声明
「2023年10月7日から2年を迎えるにあたって」
2023年10月7日から2年が経ち、2025年10月7日を迎えました。JIPSCは、「対話」の場を創造し、日本社会への関心を喚起するという2003年の創設以来の活動を継続する意志を改めて確認するとともに、民主的正統性のない統治、占領、差別、攻撃、暴力がもたらす恐怖と欠乏から、あらゆる人々が直ちにかつ最終的に解放されることを強く希求します。
パレスチナおよびイスラエル、そしてそれらの地に生きる人々にとって、この日はいまもなお、「拭えない記憶」となっています。イスラエル政府は、人質解放や即時停戦を求める市民の声を軽んじ、人質となった人々は今もなお、家族のもとに戻れないままにあります。そして、和平や共存を求める多くの人々は強く心を痛めています。不正義によって、幾万もの命が奪われることはもとより、生きる者の尊厳が侵害されることが看過されてはなりません。
2年が経過し、両地域のみならず、周辺諸国をも巻き込む形での状況悪化は、論を俟ちません。しかし、このような状況にあるからこそ、JIPSCは、イスラエルとパレスチナの人々から「対話」に参加する希望が続く限り、「対話」の場を創造し、日本社会への関心を喚起する活動理念を再確認します。
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2025年は、日本にとって戦後80年の節目の年です。軍国主義および超国家主義の伸張の過程で、日本があらゆる人々の基本的人権を蹂躙してきたことは忘却されてはなりません。日本国憲法は、そうした過去の日本を反省する上で欠かせない基盤として、戦後、制定されました。
日本国憲法の前文は次のように謳います。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」。しかし、この2年間、耐え難い危険と隣り合わせの暮らしを余儀なくされる人々は、「恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」を奪われ続けています。
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この8月、JIPSCは21回目となる合同学生会議を開催しました。2025年度合同学生会議も、JIPSCの理念に賛同し、草の根の小さな希望を見出してくださる多くの方々のご支援により開催を実現させることができました。昨年度会議に関する報道を機に、日本の中学生・高校生と対話し、ともに平和について考える機会もいただきました。
たしかに、イスラエルとパレスチナという主体に着目すれば両者は非対称なのであり、そこに対等な対話は存在しないのでしょう。しかしながら、JIPSCは、イスラエルとパレスチナに生きる「人」を対話の場に招いています。数字で表される人ではなく、誰かにとってかけがえのない、名前のある、顔のある人々を招いているのです。私たちオーガナイザーや合同学生会議の参加者たちは、いかなる政府あるいはそれに類する主体を代弁しているのではありません。参加者たちは、むしろ、誰からも強制されることなく、自らの固有の信念のもとにあらゆる障壁を越えて、確固たる態度表明として学生会議に参加しているのです。
昨年同様、イスラエルおよびパレスチナで活動するNGO「Combatants for Peace」の協力により、イスラエルおよびパレスチナから多くの参加希望の声をいただきました。そして今年、昨年会議に参加したイスラエルとパレスチナの参加者各1名を、オーガナイザーとして会議運営に迎え入れました。JIPSCが、20年を越えて歩み続けられたのは、私たちの活動とその理念に共感し、参加を望む声をあげた/あげるイスラエルとパレスチナの人々のおかげにほかなりません。両地域の人々からの参加を希望する声が続く限り、活動を絶やさないことが1つの責務であると、私たちは考えています。
JIPSCは、民主的正統性のない統治、占領、差別、攻撃、暴力、そしてそれらがもたらす恐怖と欠乏から、すべての人々が直ちにかつ最終的に解放されることを強く望みます。
2025年10月7日
日本・イスラエル・パレスチナ学生会議(JIPSC)
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